2025/11/19
11月になりました。
どんよりした夏の空気と代わり、冷たくキリリとした空気を身体に感じます。
秋空を見てふと、あの一節が浮かびました。
智恵子抄 あどけない話 (著者:高村 光太郎)
智恵子は東京に空が無いといふ、
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、
切つても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。
(昭和三・五)
永山医院から見る空に
ほんとの空はない。
平らな地平線から始まる朝日、平らな地平線から終わる夕陽、が見える空はない。
満天の星が見える空も
月が弧を描き、その軌跡を辿る空もない。
皆さんのお住まいの場所から
ほんとの空はみえますか?
かつての空は浮遊物がなく透明で、空は反射物が無いため
暗く青空でも星が見えたとか
皆さんの空の思い出はありますか。